【新事例】在宅に「みなし労働」適用、長時間で労災認定<社労士執筆>

横浜北労働基準監督署は、横浜市の外資系企業で働く50代の女性社員(A氏)が、テレワーク中に長時間の残業を強いられ、その結果精神疾患を発症したとして、労災認定を行いました。

労災認定は、2024年3月8日付。A氏は、2019年入社で担当業務は「海外レポーティング業務や人事総務」。事業場外みなし労働時間制の適用を受けながら、8時半から17時半(休憩1時間)の8時間で勤務していた。テレワーク中の業務指示は、上司よりメールやチャットで出されていた。


労災認定の背景

  • 2020年~、コロナ禍にともない自宅でテレワークを行うようになった。
  • 2020年末~、経理システムの変更や、同僚の退職、新規入社・退職などにより業務がA氏に集中。上司から早朝・深夜に業務業の連絡や注意を受けるようになる。休日労働を行う日もあった。
  • 2022年3月、適応障害を発症。発症直前1か月間の時間外労働は112時間。(過労死ラインは月100時間)
  • PCのログやメール・チャットのやりとりより労働時間を算出し、それをもとに労災認定。

まとめ

在宅でパソコンを使ったデスクワークの場合、オフィス外でも労働時間の管理はそれほど難しくありません。このケースでは、「事業場外労働のみなし労働時間制」を適用するのは適切ではなかったかもしれません。労働時間と賃金の切り離されたみなし労働時間制の悪い側面が出た一件だと感じました。

参考