【採用術】タイパ志向者に響く採用PRポイント<社労士執筆>
最近、よく耳にする「タイパ」という言葉。タイムパフォーマンス(Time Performance)の略称で、時間を有効に使い、最大の効果を得ることを言います。特に若者の間で、タイパを重視する人が増えているそうです。例えば、NetflixやYouTubeなどの動画を倍速で視聴する人が多いことがその一例で、こうした考え方の変化に対応するため、様々な企業が、タイパ志向者向けの新サービスをリリースしています。かくいう私も、たいていの動画は2倍速で見るので、タイパ志向者かもしれません。前置きはさておき、本記事のテーマは仕事における「タイパ」です。
仕事における「タイパ」とは
タイムパフォーマンスの考え方を詳細化すると、「タイム(時間)」を投下することに対して、どのような「パフォーマンス(効果)」を得られるのか、ということになります。
仕事における「タイム(時間)」とは、シンプルに考えると「就業時間」になるでしょう。しかし、もう少しシビアに考えると、仕事と仕事の合間の「休憩時間」や、仕事場に行き来するためにする「通勤時間」も含まれます。また、断りづらい飲み会なども含まれるかもしれません。つまり、働く人から見た場合、その仕事をするために費やすすべての時間が、投下された「タイム」なのです。
では、仕事における「パフォーマンス(効果)」についてはどうでしょうか。仕事から得られるパフォーマンス(効果)の種類は、非常に多岐にわたると考えます。しかし、大きく3つに分類するとしたら、私は「お金」と「成長」と「仲間・居場所」に分けられるのではないかと思います。「お金」については、仕事を通じて得られるすべての報酬です。会社員なら給与明細に記載がされている、基本給・各種手当(残業手当・通勤手当含む)・賞与などが該当するでしょう。
2つ目の「成長」については、仕事で得られる成長ですから、技術・スキル・経験・知識・ノウハウなどの変化量になります。例えば、仕事を通じて「営業スキルが高まった」や「経理の知識が身についた」、あるいは「システム開発経験が積めた」などです。成長は、仕事を選ぶうえで、非常に重要な要素だと言えます。
最後に3つ目ですが、「仲間・居場所」というものも、仕事から得られるパフォーマンス(効果)に含められると考えています。実際に、給与がそれほど高くなく、成長幅が大きくなくても、良い仲間に囲まれて居心地がよいという方は、同じ職場に定着していることが多いです。「仲間・居場所」も、仕事から得られる効果と考えて差支えないでしょう。
投下したすべての「タイム」に対して、お金・成長・仲間(居場所)などの「パフォーマンス」を得る――仕事における「タイパ」は、このように考えられるのではないでしょうか。あくまで、働く人から見た考え方です。そして、最小限の「タイム」で、最大限の「パフォーマンス」を得ることが、タイパ志向者の望みです。
こう考えると、タイパ志向者向けの訴求の仕方は、第一に「拘束される時間の短さ」を伝えること。投じる時間の少なさをアピールすることが有効でしょう。具体的には、「〇〇の理由で、残業はありません」や「年間の休日数は〇〇で、業界最高水準です」といった表現が考えられます。また、トップやマネジメント層の時間に対する考え方を伝えてもよいかもしれません。
第二に「仕事を通じて、より大きな収入・成長、そしてより魅力的な仲間を得られること」を伝えます。こちらに関しては従来どおりで、収入の多さや成長幅の大きさ、一緒に働く仲間の魅力などを伝えていくことが効果的だと思います。とくに成長に関しては、色んな観点があると思いますので、一度、自社が働く人たちに対して提供できる成長の種類を、棚卸ししてみてはどうでしょうか。